ハグルマ株式会社は旧社名を関西食品株式会社といい、現在は和歌山に本社を構えている。
ハグルマ株式会社がもつソースブランドは2つ。ハグルマと三ツ矢だ。
三ツ矢ソースは1894(明治27)年大阪市で創業。日本のウスターソースメーカーとしてはほぼ最古のソースだ(これより古いのは阪神ソース[日ノ出ソース]くらいか)。羽車ソースは1904(明治37)年、同じく大阪市で創業。これもかなり古い。
この2つの会社が合併(という言い方をしていいのかどうかよくわからないけども)して関西食品株式会社となり、後にハグルマ株式会社に社名変更する。
両社とも大阪で創業しているが、現在は和歌山県那賀郡打田町に本社を置く。
「ハグルマ」とは「羽車」であって、「歯車」ではない。
会社のウェブサイトによると、「羽車」ブランドの由来は、
明治も終わりのころ、親しかった南海電鉄社長様に商品のブランド名についての相談を持ちかけたところ、「うちのマークを使ったらどうや!」となったことから現在のロゴマークを利用しています。 |
ということだ。
羽車ソースは当初(明治37年)、「大阪市南区九郎ヱ門町にて中野商会として発足、当時はソース製造業と共に洋酒、食料品の大卸業として日本全国及び中国大陸方面にも多量に販売していた」という。
そして「昭和9年4月10日 大阪市浪速区西円手町に羽車食品工業株式会社を設立」というから、おそらく「羽車」のブランドとロゴマークは創業当初からではなく、上記のように南海電鉄社長に相談した「明治も終わりのころ」以降から使用されたのだろう。そして会社設立の際にブランドを社名としたと。
#昔、図書館で調べた商工名録には中野商会は1925(大正14)年から登場し、「ハグルマ印ソース」の名がある。
ハグルマソースが現在も使用しているマークがこれ。
車(車輪)に羽が生えている。
「車輪に羽が生えているように速い」という鉄道会社由来らしいマークだ。
この縁からか、本社を移転し南海沿線から離れた今でも南海電鉄の駅にハグルマの広告を見つけることができる。
南海堺東駅
ちなみに同時の南海電鉄の社章はこうだった。
この南海電鉄の社章は90年使用された。
現在は全然違うデザインになっているが、今でもこの社章のレリーフが、南海電鉄の主要駅である難波駅に設置されている。(ちなみに「難波(なんば)」のイントネーションは「ナンバ歩き」のナンバではなく、「ガンバ大阪」のガンバとか、サンバ、カンパに近い)
このレリーフは2011年完了の大阪高島屋改装後も残されている(この建物は現在、国の登録有形文化財)。
この南海電鉄のシンボルについて、こんなブログを見つけた。
・’07/12/27~’08/1/2 ドレスデン旅行記 第12話 4日目〔1〕 午前中はまったり(ラピート大好き人間のブログ)
ブログ名のとおり、ラピート(南海電鉄の車両)大好きの鉄道ファンの方らしい。
ドイツのドレスデンに旅行した時の旅行記を記してらっしゃるのだが、その中にこんな記述がある。
10:30前にホテルを出て、ドレスデン中央駅まで徒歩で向かいました。 今日の半日は、今回のツアーで初めての単独行動です。 ホテルのロビーのパソコンでネットで模型店を調べていたら、中央駅のすぐそばに模型店が1軒あることが発覚。 これも楽しみです。 中央駅へ向かう途中、こんなものを発見。
おや?なんか、南海の旧社章に似てる!! (引用者注:写真略 上記、難波駅のレリーフの写真) 昭和7年に完成した、なんばの南海ビルの正面には、今も羽車の彫刻が残っています。残念ながら、南海電鉄HPではまったく取り上げられていません。 『阪堺鉄道創業すぐの頃、明治19年に、ドイツの農園で使用していた客車を譲受けた。 その特別室の窓のカーテンにマークがあり、それを採用した。 南海になってから、羽車の軸を右向きに変更した。』 だそうです。 (略) 日本からはるか遠く離れたドレスデンの街で、我らが南海電鉄の社章の元祖に出会ったわけです。 |
なんと、このマークのオリジナルがドイツにあったとは。
筆者の感激も察して余りある。
ネットって凄い。
このシンボルがドレスデン中央駅にだけあるのか、あるいは他の駅にもあるのかはわからないが、少なくともこのマークがドイツから来たものだということはわかった。
ドレスデンの人たちも、まさかこのシンボルが遙か日本で100年もの間、調味料のマークとして使われているとは思いもよらないだろうなあ。(^O^)